おなかすいた。
大丈夫。僕らはきっと強くなる、辛い出来事もきっと忘れる。螺旋を描いてまっすぐのぼる。空の青の深さを知る。
数限りある点の集合。かつて栄えた泉。何もない街道。落ちてゆくだけの穴。
見慣れた君の笑顔。珍しくもない通り雨。遠くから聞こえる声。
描き出した線はきっとどこまでも繋がる。放たれた言葉はやがてどこまでも広がる。
誰もが知っていてだからこそだれもしらない。誰もが持っていてだからこそだれにもみえない。
大丈夫。僕らはきっと強くなる、辛い出来事もきっと忘れる。螺旋を描いてまっすぐのぼる。空の青の深さを知る。
何気なく染まった空。ただ立っている樹。想い出のあの味。抜けるような光。
いつか見た微かな陰り。足元に転がった塵芥。忘れかけていた気持ち。
あの日見た景色は僕の拠り所になった。動かされた記憶は今を生きる標になった。
誰もが知っていてだからこそだれもできない。誰もが持っていてだからこそだれもわからない。
大丈夫。僕らはきっと強くなる、辛い出来事もきっと忘れる。螺旋を描いてまっすぐのぼる。空の青の深さを知る。
言ってくれるな。薄く架かる大きな虹。取り囲む高い壁。ただ僕に残された、見慣れた白い両の掌。
大丈夫。僕らはきっと強くなる、辛い出来事もきっと忘れる。螺旋を描いてまっすぐのぼる。空の青の深さを知る。